独特の風合いがあり、健康にも良いイメージの自然素材を使用した家。近年、住環境への意識の高まりとともに検討する方が増えています。
しかし一方で「費用が高いのでは?」「お手入れが大変そう…」という声が多くあるのも事実です。
今回は、具体的な素材の種類や費用の相場をご紹介します。
「ちょっと一味違う、気持ちのいい家を建てたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
自然素材の特徴とメリット・デメリット
「自然素材」という言葉について、明確な定義はなく施工会社によってもさまざまなとらえ方がされていますが、一般的には化学物質を含まない自然由来の素材のことです。
自然素材の家は、主に床・壁・天井の仕上げ材に上記のような素材を使用している住宅を指します。
メリット
自然素材の家についてのメリットは主に以下のとおり。
- 健康に優しい
- 調湿性・蓄熱性・消臭性に優れる
- 「劣化」ではなく「経年変化」を楽しめる
一般的な建材を使用した家と比べ、自然素材の家は化学物質を最小限に抑えられるため、シックハウス症候群の恐れが少なく健康に優しい家になります。
また、自然素材は調湿性・蓄熱性・消臭性に優れるため、空気清浄機や消臭剤に頼らずとも住まいを快適な環境に整えてくれる効果が期待できます。
さらに、樹脂やビニール加工された一般建材は経年により劣化が目立つのに対し、自然素材は使い込むほどに味わい深く変化していく点は大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
自然素材とうまく付き合うにはデメリットを把握することも大切です。以下に見ていきましょう。
- 扱い方の知識が必要
- コストが高くなる
自然素材はお手入れの方法に気を配る必要があります。
例えば、漆喰などの塗り壁は水拭きが難しいため、汚れや落書きを簡単に拭き取れません。無垢材のフローリングは水や油を吸い込みやすく、洗剤を使用した水拭きやウェットのフローリングワイパーは使用を控えた方がいい場合があります。
素材ごとの扱いやお手入れ方法の知識をあらかじめ知り、手間を楽しむ気持ちが大切です。
また、既製品の建材を使用するよりは自然素材の方がコスト高になるケースがほとんどです。
ただし、施工会社によっても価格差は大きいもの。複数見積もりを取ったり、一部に自然素材を採用したりといった方法で、予算調整の工夫をしていきましょう。
自然素材の種類
住宅で使用される自然素材は、主に無垢の木材と漆喰などの左官材です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
無垢材(むくざい)
一般的な建材は「集成材」や「合板」など細かい木材を接着剤で圧着した材をベースに、木目調のシートや単板(きれいな木材の薄板)を張り合わせたものが主流です。
それらに対し、無垢材は一本の木から切り出した木材を指します。そのため、材種や個体により色味や木目、固さや節(ふし)、香りなどがさまざまに異なります。
フローリングなどの床材はもちろん、壁や天井、造作材などあらゆる箇所の仕上げ材として使用可能です。
無垢材は蓄熱性が高いため、冬場は足元の底冷えがないといった効果に驚く方も少なくありません。
しかし、過度な湿温度の変化があると膨張や収縮が起き、反りや割れ、すき間が生じるケースもあります。これらを未然に防ぐため、材料を実際の現場に数日おき環境にならせたり、あらかじめ変化を想定した取付を行ったりする方法が考えられます。
いずれも施工会社および職人の経験と知識が必要なため、実績の多い会社へ依頼することが大切です。
漆喰・珪藻土
自然素材の家の壁・天井の仕上げ材としてよく採用されるのが漆喰と珪藻土です。
- 漆喰…消石灰を主原料とし、のりやスサなどを加え水でよく練り合わせたもの
- 珪藻土…藻が海や湖などに沈んでできた粘土状の土
どちらも左官職人が手作業で施工するもので、コテや塗り方によって仕上げの表情を変えることが可能です。一部を家族が塗って家づくりの記念にする、ということもよく行われます。
ビニールクロスとは異なり非常に趣のある仕上がりになるため、満足度も高い傾向にあります。脱臭性や耐火性に優れるのも嬉しいポイントです。
しかし、汚れや落書きなどの拭き上げが難しい点、地震や乾燥によってヒビ割れの恐れがある点は考慮しておく必要があるでしょう。
自然素材の費用相場
実際に自然素材を使用した場合の費用相場を紹介します。
無垢材フローリングの場合
以下、合板が基材の複合フローリングとビニール素材のクッションフロアを合わせて比較します。
- 無垢材フローリング: 20,000円~50,000円程度
- 複合フローリング: 10,000円~40,000円程度
- クッションフロア: 5,000円~10,000万円程度
※1畳あたり
無垢材は樹種や木目、節の有無や材の幅などによって価格差が大きいものです。また、施工会社が独自に加工した無垢材フローリングは特別価格という場合も。下地の状態や床暖房の有無によっても金額や施工の可否が変わるため、業者に確認してみましょう。
漆喰・珪藻土の場合
自然素材である漆喰・珪藻土と、壁・天井材として一般的なビニールクロスを比較します。
- 漆喰・珪藻土:4,000円~8,000円
- ビニールクロス:1000円~1,800円
※1㎡あたり
上記では同列に並べていますが、漆喰は珪藻土よりも少々高くなるケースも多いようです。というのも、珪藻土の下地塗りはローラーなどでも施工できる製品がある一方、漆喰は必ずコテを必要とします。職人の高い技術と手間を必要とする分、単価が高くなるというわけです。
また、ビニールクロスに比べ費用が高いからといって、アクセントとして狭い壁に漆喰や珪藻土を採用するのはおすすめしません。両者の調湿性や消臭性などは、ある程度広い面積に塗られることで効果を発揮するからです。
自然素材で家づくりをする際の注意点
お手入れが必要
前項でも述べたとおり、自然素材は適切なお手入れをすることで風合いを保つことができます。
「健康に優しいから」「趣が出るから」といった理由のみで選択するのはあまりおすすめできません。自然素材の家は、経年で色味や形が変わったり、キズがついたりすることは必然です。「住まいの変化は家族の生活の歴史」と愛でながら、お手入れの手間や経年を楽しんでいく気持ちが大切です。
出来が職人の腕に左右される
自然素材は工場生産で一定に品質が保たれた製品ではありません。そして、扱う職人の腕によって完成度が左右されます。
材の収縮や塗り壁のヒビなどは一定数起こりうる現象のため、必ず防げるものではありません。しかし、豊かな経験と知識を持つ職人は、それらを想定しながら美しく仕上げ、事後の対策もスムーズに行うことができるのです。
自然素材の家を検討する場合には、実績豊富な施工会社を絞り込み、出来る限り現場見学会などへ足を運ぶようにしましょう。
自然素材は仕上げ材だけではない
家をつくる材料は床材や壁材といった仕上げ材だけではありません。
いくら自然素材の家と言っても、化学物質を一切使わない建材での家づくりというのは実質不可能です。
ほとんどの住宅において、壁の下地には石膏ボードや合板が用いられ、断熱材はグラスウールやスタイロフォームといった工業製品が使用されます。
本当に健康に優しい家づくりを目指すのであれば上記のような建材にも注意を払う必要がありますが、際限なく自然素材に変えてはとてつもない費用負担となります。
自然素材の家であっても、一般的な住宅の範囲ではある程の工業製品が使用されることを理解しましょう。
まとめ
自然素材の家は、健康的で独自の風合いが楽しめる点がメリットですが、コストやお手入れ方法に配慮しながら検討する必要があります。
しかし、特性を理解して上手に扱っていけば、家族と一緒に成長する味わい深い住まいとなっていくでしょう。
福岡を拠点とする辰巳工務店は、自然素材を使用した家づくりを行っています。さらに、弊社では構造材もすべて手刻みによる無垢材を採用!お客様の一人ひとりの理想と予算に合わせたマイホームをご提案いたします。
自然素材の家を建てたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。