建物のクオリティを左右する職人ならではの技術とは?

建物の建築を実際に行うのは職人の方々です。基礎や外装、内装など建築にはさまざまな工程があるため、職人の種類も非常に沢山存在しています。建物は依頼通りに完成することが当たり前ではあるものの、どんな依頼内容でもしっかりと仕上げることが出来ているのは職人の方の技術力あってこそでしょう。そこで今回は職人の方の技術についてご紹介いたします。

1. 職人とは

職人というのは、熟練された技術によってモノづくりをすることを職業としている人のことを指します。建築関係に関わらず、幅広い分野において職人と呼ばれる方々は存在しているというわけです。建築関係に限定するといかが代表的な職人となりますが、これはあくまでも一例となり、実際は30を超える非常に多くの種類が存在しています。
鳶(とび) / 鉄筋 / 墨出し / 左官 / 大工 / クロス / 配管工

それぞれの種類において専門的に施工を行っていますが、技術力が高ければ職人となるわけではありません。確かに職人には高い技術力が求められるものの、それだけで決まるものではないのです。技術力があるだけではいわゆるプロという扱いになるでしょう。それではプロと職人の違いはどこにあるのかということですが、その決定的な違いは『こだわり』にあるのではないでしょうか。

職人と呼ばれる方々は皆さん強いこだわりを持っています。それは専門的に行っているモノづくりに関する素材や工程、仕上がりなど全体的に対してです。自らに高い水準を設けており、その水準に達するためにはいかなる努力も惜しまないというわけです。素材などに関してはやはり高価なものほど品質が高い傾向にあるため、費用をかければかけるほど品質は高くなるでしょう。

しかし、依頼主にも予算があるわけですから、その限られた予算の中でも一切の妥協をせずに最大限にクオリティを追求する、という姿勢が職人であるか否かという判断基準となるでしょう。 また、そのこだわりは決して独りよがりなものではなく、最終的に依頼主に満足してもらえるものに仕上げるという結果をしっかりと出せる、という部分も大切です。こだわりを追求するだけではプロとは呼べても職人とまではいきません。こだわりを追求したその先に多くの方を唸らせるものに仕上げるという確かな実力があってこそといえます。

2. 技術力の違いによって生まれる差

技術力の違いによって、仕上がりを含む多くの部分に対して『差』というものが生まれることになります。パッと見ではわからないような些細なものであっても、建物は末永く住み続けていくものですので、そのうちその差が決定的な違いとして浮き彫りになることになるでしょう。具体的にどのような差が生まれるのか、大工を例に挙げて明らかにしてみましょう。

大工という職は、メインで取り扱う木材に関して豊富な知識を持ち合わせており、だからこそ鉋やノミなどの道具を駆使することで、求められている物を作り上げることが可能です。それが本来の大工の姿であり、職人と呼ばれる所以でもありました。しかし、現代においては合理性やコスト削減を目的として、建築に用いる木材などは工場で大量加工され、現場では組み上げがメインとなっているのです。

それは決して悪いことではありませんが、技術力に差を生んでいる要因と言えるでしょう。 職人と呼ばれる本来のスタイルである大工は、木材などの資材があれば現場で加工し要望に沿って建築を進めていくことが可能です。それはイレギュラー対応に関する経験値を積むチャンスでもありますし、これまでの経験を生かせる場でもあります。

しかし、現代の大工のスタイルですと、現場で加工する技術も不足しており、普段必要がないため道具を持ち合わせていないことがほとんどです。そのため要望に沿った資材を向上に発注することになるわけですが、結局経験を積むチャンスに恵まれず、スキル向上が出来ないという悪循環ということにもなるのです。 その結果、仕上がるものにどのような違いが生まれるのか、もうおわかりではないでしょうか。要望に沿うという点においては同じですが、結果として仕上がるものには違いが生まれるのです。

3. 大工の技術

大工という職における技術ですが、代表的なものといえば『組木』ではないでしょうか。日本の伝統的な木造建築で用いられてきた技術のことで、近年では世界中から注目を集めています。現代では柱などを接続する際に釘などを使うというのが当たり前となっていますが、組木ではそういったものは一切使用しません。接続する木材双方に切込みを入れ、その部分をつなぎ合わせることによって接続をするのです。

この技法のすごいところは、メリットがいくつも存在するという点にあります。まずは『高い強度』で、釘などを使用した場合ですと、経年でその部分にサビや腐食による緩みが生まれ強度が落ちてしまいますが、組み木ではそうしたことは起こりません。その他にも、木材の長さを延長することも出来ますし、一部腐食した木材に対して高い強度で補修することが可能でもあります。これは一つひとつ個体差がある木材を熟知していなければできないことですので、まさしく職人技といえるでしょう。

4. 左官の技術

専用の鏝(こて)という道具を用いて、建物の床や壁を塗り仕上げる左官ですが、その技術は見た目の美しさを創り出す芸術に近いものがあります。

近年では石膏ボードの登場によって、貼り付けるだけで簡単に仕上げられるようになったため、左官の出番も減少傾向にありますが、左官の技術は唯一無二といっても過言ではありません。

石膏ボードは貼るだけですので簡単ですし短時間で仕上げることが可能ですが、量産型ならではの同一の仕上がりとなります。しかし、左官による仕上げは全て手作りですので同じものは一つとしてありません。ひとつひとつが職人による作品なのです。使用する鏝には素材やサイズ、厚み等の異なる複数の種類が存在していますので、それらを駆使して継ぎ目のない美しい仕上げを実現します。また、漆喰をはじめとするさまざまな特徴を持つ材料を適材適所で使い分けることで、見た目だけでなく機能面に関しても効果的となるのです。

5. まとめ

いつまでも高いクオリティを維持し続けられる建物は、職人の方の確かな技術があってこそといえます。建物を建てるというのは決して安いものではないので、満足できる確かな仕上がりにしてほしい誰しもが思うことでしょう。そのためには職人が手掛けるということが重要なのです。

「辰巳工務店」では、ご依頼いただいた建築を豊富な経験と確かな技術を持つ職人が手掛けます。新築をお考えの方はお気軽のご相談ください。