木造の家づくりでチェックすべき「柱」のポイント

「柱」は木造住宅の要です。

現在の戸建て住宅で9割を占めるのは木造と言われています。日本の木造住宅において、柱の種類や強度は家の品質に直接つながる重要な要素です。

家に用いる柱の情報を知ることで、強く長持ちする家づくりが可能になるのです。

この記事では、木造工法と柱の関係性や、太さ・スパン・樹種など、柱に関する基本情報をお伝えします。

「施工会社が選ぶものなら間違いないでしょ?」とお考えのあなたも、ぜひ知識を深めてマイホームに最適な柱を選んでください。

 

 木造住宅の工法と柱の関係

戸建ての木造住宅の工法は、主に在来工法とツーバイフォー工法に分かれます。それぞれの工法と柱の関係性を見ていきましょう。

在来工法と柱の関係

日本における木造住宅で7割以上を占める在来工法。木造軸組工法とも呼ばれ、柱・梁を組み合わせて建物を支えます。

「筋交い」や「耐力壁」といった構造を適所に配置し耐震力を確保しますが、全体は木材による「軸」の骨格で構成され、柱の存在感がひと際強い工法です。

一般的には柱を壁に隠す仕様が多いものの、あえて柱や梁をあらわす意匠も人気で、木の温かみや香りが伝わる家づくりが可能です。

 

ツーバイフォー工法と柱の関係

ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)は、2×4インチの部材と合板で剛性を持たせ、箱型に組み立てる工法です。床・壁・天井の「面」で建物を支えるため、強い耐震性をもつ特徴があります。

構造体はすべて合板でおおわれるため、在来工法のように柱や梁があらわることはありません。出来上がりの室内において「木造」を感じることはほぼないと言えるでしょう。

木造住宅でも、在来工法とツーバイフォー工法は柱との関係性がまったく異なるのです。

 

柱の太さについて

日本の木造住宅で使用される柱の太さは、一般的に3.5寸(105㎜)と4寸(120㎜)のものがほとんどです。

他に、3寸(90㎜)・5寸(150㎜)・6寸(180㎜)といったバリエーションがありますが、あまり使用されることはありません。

3・5寸と4寸は、柱を設置する位置によって使い分けます。

最も一般的な2階建ての木造住宅では、建物の四隅に「通し柱(とおしばしら)」という1階から軒まで貫く長い柱を設けます。太さのある4寸は主に通し柱で使用され、それ以外の短い柱「管柱(くだばしら)」は3.5寸に設定されます。

 

柱のスパンについて

木造住宅の柱のスパンは、ほとんどが910㎜間隔に設定されます。

一見中途半端なこの数字ですが、日本で古くから使用されている「尺寸法」にもとづいているのです。1尺はおよそ303㎜、3尺でおよそ909㎜です。これが便宜上910㎜となり、現在の一般的な木造住宅の柱スパンとして採用されるに至りました。

日本で流通する建材も3尺をベースにしているものが圧倒的に多く、家づくりに必要不可欠な合板や石膏ボード、窓サッシや建具なども、910㎜スパンの設計であれば大体がぴったりと施工できます。

ちなみに、年配の職人や古建築に関わる業者などは今でも尺寸を用いる方が割と多いのです。

 

柱の樹種について

次は柱の樹種について解説します。

一般的な木造住宅に用いられる柱は意外に樹種が多く、ホワイトウッド・レッドウッド・スギ・マツ・ヒバ・ヒノキなどさまざまです。さらに、同じ樹種でも「無垢材」または「集成材」といった違いがあります。国産材か外材なのかにもよって品質や価格に大きな差が生じます。

ここでは、一般的に使用されることの多い無垢のスギ・ヒノキ・アカマツ、集成材のホワイトウッドについて紹介しましょう。

【スギの柱】

流通量が最も多い樹種で、柱材としての性能は優良、非常にコストパフォーマンスが高い樹種です。

赤身の芯材(樹の中心部分)であれば腐食や蟻にも強く、強度も申し分ありません。

建築後の収縮や強度低下の恐れがあるため、乾燥した材料を使うことが重要です。

 

【ヒノキの柱】

東日本ではやや高価な材料ですが、西日本では杉よりも流通量が多いのがヒノキ材です。

耐久性が高く、湿気にも強いため腐食や蟻害を防ぐ優れた樹種です。良い香りを発する特徴があるため、室内にあらわして使用するのもおすすめの樹種です。

 

【アカマツの柱】

アカマツは輸入材も多く流通していますが、こちらで紹介するのは国産のアカマツ。

アカマツはスギやヒノキと比べると非常に硬く重量のある材種です。希少性もあり高価ですが、色味や木目が美しいため、構造材だけでなく造作材やカウンター材などにもおすすめの材料です。

 

【ホワイトウッドの柱】

コスト重視の場合、採用されるのは多くがホワイトウッドの柱です。

大手ハウスメーカーでも採用されています。基本的には集成材で加工性が良いメリットがありますが、水気に弱く耐候性や防蟻性はあまり期待できません。何十年も安心して住める家にしたい、という方は他の材種を選ぶ方が良いでしょう。

 

耐震性と柱の関係

木造住宅の耐震性は柱だけで決まらない

木造住宅は出来るだけ耐震性を高く発揮するよう柱を選択したいところ。

しかし、家の耐震性は柱の太さやスパン・樹種だけでは決まりません。柱の仕様に加え、梁の強度や金物、構造壁が正しく検討されているかがポイントになるのです。

現在の木造住宅は、建築基準法により耐震性について以下の基準が求められます。

 

  • 数百年に一度程度発生する規模の地震による力(震度6強~7相当)に対して、倒壊・崩壊しない
  • 数十年に一度程度発生する規模の地震による力(震度5強相当)に対して、損傷を生じない

 

これは、建物の耐震性能をあらわす「耐震等級」でいうところの等級1に相当します。

特別な注文をしなくても耐震等級1レベルは必ず確保されますが、等級2以上を求める場合には、構造の強度を見直す必要があるでしょう。この時点で、柱の本数や樹種といった内容が検討項目に含まれていきます。

 

柱が割れている!穴があけられている!大丈夫?

自宅の建築中などに、柱に割れや穴あけを発見して戸惑う方もいるかもしれません。

しかし、これらは心配する内容でないことがほとんどです。

無垢材に見られる縦方向の割れは「背割れ」といい、あえて加工しています。無垢材は乾燥が進むと自然に縦割れが生じるケースがあり、事前に背割れをすることで不格好なヒビ状の割れが入ることを防いでいるのです。

さらに、木材はそれぞれを組み合わせるときに端部を加工したり大きなボルト穴をあけたりすることがあります。建築基準法では断面欠損が3分の1以上となる場合には補強を要する旨が規定されていますが、規定以下であれば強度的には問題がないとみなされます。

以上のように耐震性に影響しないケースが多いのですが、不安に感じることがあれば担当者へ遠慮なく質問してみましょう。

 

まとめ

木造住宅の要、柱について基本的な情報をご紹介しました。

構造は難しい部分も多く、施工会社にお任せという方が圧倒的に多い内容です。しかし、長く暮らす大切な住まいを支える柱がどんなものであるかは、ご自身でしっかりと認識していただきたいところです。

 

辰巳工務店の建てる家は、無垢スギ材の柱を使用しています。さらに、工場での機械加工ではなく、すべて職人の手刻みによる加工を施しています。

手間のかかる作業ですが、木の性質を読み込んだ家は「永く住める家」となり、最終的にはお客様のメリットになると考えています。

構造にもこだわった木造住宅をお考えの方は、辰巳工務店までお気軽にご相談ください。