「造作」は家づくりの醍醐味!大工に依頼できること、家具との違いを解説

おしゃれな注文住宅には欠かせない要素、それは造作(ぞうさく)工事です。

担当するのは技術力の高い「造作大工」。作り付けのカウンターや棚、ボウルや水栓をセレクトしてオーダーする洗面台、これらはすべて造作工事によるものです。

今回は、造作工事として大工に依頼できることは何か、一般的な家具とはどのように違うのかを解説します。

センス良く洗練されたインテリアを目指したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね。

 

 そもそも「造作」とは

造作工事は家の仕上がりを左右する

「造作」とは、主要構造部の躯体以外の「仕上げ工事」や「作り付け家具」のことを指します。

一般的には主に木材を用い、加工・取付を「造作大工」が担います。

室内に見えるフローリングや窓枠、階段に加え、家の寸法に合わせてオーダーメイドで設置された家具など、すべて造作です。

造作は材料の性質を見極めながら加工を施し、ミリ単位での精密な取り付けを必要とすることから、大工の腕によって仕上がりに差が出ます。

見た目の美しさはもちろんですが、造作の出来は機能や強度にも影響する大変重要なものです。

近年は工場成形された建材が多く、加工が最小限で取り付けも簡易的になったものが一般的になりました。しかし一方で、SNSなどにより家づくりの情報が拡散され、おしゃれな造作について興味を持つ人が増えてきています。大工にとっても腕をふるう機会が多くなってきたといえるでしょう。

 

造作の魅力とは

造作の魅力は、何といっても完全オーダーメイドで家の雰囲気に合わせたしつらえができる点です。

素材やサイズ、色味などを自由に選ぶことができ、オンリーワンの内装を実現できます。身長が低い・高い、左利き、身体的特徴があるといった個性に合わせ、さまざまな仕様を検討可能です。

また、購入する家具を最小限に抑えられるため、予算が立てやすくインテリアの統一感も図りやすいというメリットがあります。

費用負担が大きいと思われがちな造作工事ですが、材料や仕様によっては一般的な家具よりも安く済む可能性もあります。

せっかく注文住宅を建てるのであれば、造作工事を積極的に検討してみましょう。

 

造作大工ができること

基本的に何でもできる

造作大工は一般的にイメージするところの「大工さん」です。

家づくりにまつわる大工工事を一手に引き受け、他業者と上手く兼ね合いを持たせながらさまざまな作業を進めていきます。

木造戸建住宅では、基礎の上に構造体を組み立てる「建て方大工」がおり、造作大工と分けて考えられます。しかし、建て方も造作も全部やるという大工も少なくありません。

そのため、造作大工は木材に関する作業であれば基本的に何でもできるマルチな職人なのです。

 

一般的な造作工事の内容

造作工事は建物の内装を仕上げていく工事です。以下に造作大工が加工・取付を行う具体的な内容を見ていきましょう。

  • 間仕切り壁・天井下地
  • 窓台・窓枠
  • ドア枠・鴨居・敷居
  • 石膏ボード貼り
  • 下地ベニヤ貼り
  • フローリング・巾木・廻り縁
  • 造作家具(カウンター、棚、洗面台など)

上記の内容が完了次第、内装工事(クロス貼り)、左官工事(壁塗り)、塗装工事、建具工事、設備機器工事(キッチン・トイレ・洗面)などが続きます。

それぞれの仕上がりはベースである造作工事の出来具合がダイレクトに影響するため、造作大工は常に高度な技術と経験が求められるのです。

造作家具については、仕様が簡単なものであれば造作大工がつくりますが、引き出しや扉が付いた複雑な形状のものは家具屋が制作・取付を行うケースがあります。

 

置き家具との違い

造作家具に対し、一般的に個別で購入できるタイプの家具を「置き家具」と呼びます。

造作家具と置き家具はどのような点が異なるのでしょうか。具体的に見ていきます。

統一感が出る

家の雰囲気や材質に合わせて設置する造作家具は、必然的にインテリアの統一感が出ます。

置き家具をセンス良く配置するのは意外に難しいこと。好きな家具を組み合わせていったら、結局ちぐはぐな印象になってしまったというケースも多く見られます。家具販売店に家の仕様や間取りを見せながら相談するのも一つの方法ですが、家のイメージを完全に伝えられるとは限りません。

造作家具によってシンプルな統一感を演出した家は非常にセンス良く、洗練されたインテリアにまとまります。

 

自由にカスタマイズできる

家族の身長や特性、好みに合わせカスタマイズできるのは造作の大きなメリットです。

木材選び一つに注目しても、木目・色味・硬さ・形状・塗装方法さまざまな選択肢があります。造作に合わせて、金物やファブリック、水栓器具やタイルなどの組み合わせを選んでいくのもワクワク楽しい作業です。

 

細かい仕様は不得意

造作工事を行うのはあくまで大工です。

細かい加工やさまざまな材料・金物を使用する仕様は難しく、使う道具も異なるために畑違いの仕事になります。

引き出しや扉付き、鏡・ガラス付き、折り畳み式のものなど、複雑な形状の家具は造作大工ではなく家具屋が制作・取付を行う場合があります。

 

かんたんに移動・撤去できない

置き家具は好みやライフスタイルの変化によって簡単に移動・撤去できますが、造作家具は構造体に固定されているため動かすことができません。

そのため、造作家具のデザインや仕様はインテリアに馴染むベーシックなものをおすすめします。部屋のアクセントを演出したいときは、移動しやすい置き家具の設置が適しているでしょう。

 

造作の注意点

魅力的な造作ですが、工事を進めるにあたっていくつかの注意点があります。以下に紹介していきましょう。

依頼のタイミングに注意

造作工事は一からのフルオーダーであるため、仕様が完全に決まってから発注・製材・取付の流れを必要とし、計画から設置までに時間がかかります。

さらに、取付箇所にはあらかじめ下地を設置する必要があるため、事前準備の材料・期間も要するのです。

造作工事を依頼したい場合には、間取りの検討段階で早めに担当者へ伝えることが大切です。

 

素材や色味はサンプルを確認

置き家具と違い、造作は完成品を先に確認できません。

「イメージと違った」という後悔を防ぐためにも、図面で位置やサイズをきちんと確認することが大切です。

さらに、実際の質感をチェックするためサンプルを活用しましょう。メーカー品でない場合はサンプルの用意がないケースもありますが、施工会社に依頼して見本品を作ってもらうこともできます。

素材感や色味など、図面やパースでは見えない部分をしっかりと確認しましょう。

 

まとめ

造作工事は家づくりの仕上がり具合を左右する大切な要素です。

さらに造作家具を設置することで、使い勝手よく統一感のあるインテリアを実現できるでしょう。

現在は大工人口が減り高齢化が進むと同時に、簡易的な建材を用いた廉価な住宅の普及により大工の技術力や知識も低下しています。

辰巳工務店では、年配者が日々技術力の研鑽を怠らないのはもちろん、若い職人を一流の大工に育てるため伝統技術を継承する教育を行っています。

今までに培ってきた技術力や提案力を活かし、お客様のさまざまなご要望にお応えすることが可能です。

福岡で家づくりをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。