在来工法をわかりやすく解説!ツーバイフォー工法との違いやメリット・デメリットを知ろう

マイホームを建てる際、家の構造について悩む方も少なくはないでしょう。

現在の日本で圧倒的に多いのは木造住宅で、戸建て住宅の9割以上を占めます。

そんな木造の中でも一般的なのは「在来工法」と呼ばれる建て方。さらに木造の建て方には「ツーバイフォー工法」がありますが、この2つはどんな点が異なるのでしょうか。

今回は、木造住宅の主流「在来工法」のメリット・デメリットや「ツーバイフォー」との違いを解説します。

家の構造はマイホームの住み心地や資産価値に直接かかわる大切な要素です。しっかりと確認していきましょう。

 

 在来工法(木造軸組工法)とは

在来工法は、日本で古くから受け継がれてきた伝統工法に、現代の法規制に合わせた加工法や補強金物を取り入れたものです。

「木造軸組工法」とも呼ばれ、現在の日本における戸建て住宅で最も多く普及しています。2018年に実施された林野庁の調査では、木造住宅のうち76%が在来工法という結果でした。

在来工法では木材の柱・梁を利用し、コンクリートの基礎の上に躯体を組み立てます。さらに柱・梁同志をつなぐ「筋交い」や「耐力壁」「火打ち梁」などを設置して、地震などの災害にも耐えられる強さと耐久性を確保します。

工事中に木造の骨組みが露わになった状態で天候が気になる場合もありますが、通常は躯体を建てたあとの屋根張り、壁・窓の取り付けは驚くほどのスピードで行われます。在来工法の組み立てはほとんど段取りが決まっているため、職人たちも迷いなく進めてくれるのです。

参考:林野庁「木材利用の動向(2)」

在来工法とツーバイフォー工法との違い

在来工法ほどのシェアはないものの、大手ハウスメーカーでも採用されている「ツーバイフォー(2×4)工法」。「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。

同じ木材を使用しますが、在来工法は「軸」で、ツーバイフォー工法は「面」で支えるという点が大きな違いです。

ツーバイフォー工法では2インチ(38㎜)×4インチ(89㎜)の規格材とパネル状の面材を組み合わせることで躯体をつくります。頑丈な箱型の構造となるため、強い耐震性を発揮するのが特徴です。

在来工法とツーバイフォー工法の違いを細かく見てみましょう。

 

在来工法

ツーバイフォー工法

構造の支え方

柱・梁・筋交いなど軸で支える

壁・床・天井の面で支える

耐震性

仕様による

高い

工期

比較的長い

早い

間取りの自由度

高い

比較的低い

リフォーム

大規模リフォーム可能

難しい

開口部

種類・サイズが豊富

種類・サイズ共に制限あり

施工会社

全国各地で可能

一部施工会社に限られる

施工品質

施工会社による

安定している

 

在来工法とツーバイフォー工法は、構造の仕組みだけでなく工期や間取りの自由度なども異なります。

ツーバイフォー工法は規格材を使用するために安定した材料を早く組み立てられるメリットがありますが、取扱業者が少なく、間取りや開口部の自由度が低いといった欠点がある工法といえるでしょう。

 

在来工法のメリット

鉄骨造やコンクリート造などの選択肢が増えても、在来工法の人気がなお衰えないのはさまざまなメリットがあるからです。在来工法で家を建てるメリットをくわしく見ていきましょう。

日本の気候風土に適した工法

木材は吸湿性に優れ、温度変化が激しく湿度の高い日本の気候風土に最適な材料です。

さらに在来工法は部材の修繕や交換がほかの工法に比べて容易なため、適切にメンテナンスしていくことで長く建物を維持していくことができます。伝統工法によって建てられた日本の寺院建築などは築1000年を超えるものもあり、在来工法もこの要素を受け継いでいるのです。

さらに現代の在来工法は耐震性能も強化され、より日本の気候風土に適した工法へと進化しています。

 

間取りの自由度が高い

在来工法は柱と梁をメインに構成されているため、間取りの自由度が比較的高い工法です。

耐震性能上で必要な壁(耐力壁)はありますが、求められる強度とバランスを保つことができれば、位置や素材はある程度自由が利きます。

ツーバイフォー工法では壁位置を1階と2階で揃える必要があるため、間取りの制限が厳しくなります。一から設計に関われる注文住宅では、在来工法のメリットが大きく発揮されるでしょう。

 

開口部を取りやすい

前述のとおり、在来工法は壁位置を比較的自由に設定できます。そのため、好きな位置や大きさで窓を設置しやすいメリットがあります。

近年人気のリビングとベランダがつながる大きな開口部なども、在来工法であれば実現できる可能性が高まります。明るく開放的な室内で日中の照明代が節約できる点も2次的なメリットいえるでしょう。

 

施工可能な業者が多い

在来工法は日本全国どこの地域でも対応可能な業者を探し出せます。

業者が多いということは、デザインや細かな仕様の選択肢が大幅に広がるということです。地元密着型業者に絞った場合でも、技術力や実績の多い優良な施工会社に出会える確率が高まります。

さらに在来工法向けのメーカーや建材も多く、外壁材や内装材、サッシ、断熱材など、すべてにおいて豊富な種類からセレクト可能です。

 

リフォームしやすい

在来工法は必要最低限の柱・梁を維持すれば、大規模なリフォームが可能です。

  • 部屋を仕切って子ども部屋を2つに
  • 梁を見せて天井を高く
  • 庭の一部に書斎を増築

例えば上記にあげたような増改築にも対応しやすく、ライフスタイルの変化に柔軟に合わせながら間取り変更ができるでしょう。

 

在来工法のデメリット

メリットの多い在来工法ですが、いくつかのデメリットも存在します。以下に見ていきましょう。

比較的工期が長い

規格化されているツーバイフォー工法に比べると、在来工法は工期が長くなる傾向にあります。

間取りや開口部などが自由に設定できる反面、施主が決定するべきことが多く打ち合わせに時間がかかります。

個々のこだわりを反映した家づくりは現場での手間と時間も多く要するものです。少しでも工期を短縮したいという場合には、基本仕様がある程度決まっているセミオーダー式の注文住宅を選択するのも一つの方法です。

 

業者により品質に差が生じる

多くの業者が施工可能な在来工法ですが、担当業者によって品質に差が生じやすいデメリットがあります。在来工法は職人の技術や経験に左右される場合が多く、現場監督の力量によっても仕上がりのレベルが変わります。

軸組部分はプレカット材という工場加工による材料が使用されますが、組み立てや雨仕舞(雨水が入りにくいようにする)処理、断熱・気密処理などに影響が出るケースがあるのです。

品質が安定した家づくりを進めるためには、営業と設計、そして現場担当者それぞれの連携が密にとれている業者を選ぶようにしましょう。

 

まとめ

日本で最も普及している在来工法について、ツーバイフォー工法との違い、メリット・デメリットをお伝えしました。

日本各地で対応可能な業者が多い在来工法ですが、技術力と実績の多い業者に依頼することで、より満足度の高い家づくりが可能になるでしょう。

 

辰巳工務店の家づくりは、在来工法を採用していますが材料はすべて手刻み加工材です。

通常に比べ時間がかかりますが、一朝一夕では身につかない大工の技術を詰め込んでいます。最新技術の研鑽も怠らず、技術を継承しながらも断熱・気密性能や耐震性能トップクラスの住宅を実現可能です。

福岡で家づくりやリフォームをお考えの方は、ぜひ辰巳工務店までお気軽にご相談ください。