新築は「エコ住宅」以外メリットなし?2024年以降の家づくり事情について解説

わずかなエネルギーで快適な住空間をつくる、環境にも家計にもやさしいエコ住宅。

これまでエコ住宅は数ある住宅タイプの選択肢のひとつでしたが、今後の家づくりでは必須の仕様となりそうです。

なぜならば、2024年からは一定の条件を満たすエコ住宅でなければ住宅ローン減税が受けられず、2025年以降はそもそも家を建てる許可が得られなくなるのです。

今回は、今後の家づくり事情について「エコ住宅」にスポットを当てて解説します。

 

これからの家づくり

そもそもエコ住宅とは

エコ住宅は、省エネ住宅とも呼ばれ、家の性能を高めることで冷暖房などのエネルギー消費を抑える住宅の総称です。

断熱・気密・日射の3つの要素に考慮した設計によって外気の影響を受けにくい住まいを形成し、冷暖房効率を上げ「夏涼しく、冬暖かい」快適な室内環境を実現します。

エコ住宅の性能は、住宅の年間エネルギー消費を評価する「一次エネルギー消費量等級」と断熱性能を示す「断熱等性能等級」で表されるケースが多くなります。

エコ住宅にはいくつか種類があり、代表的な4つの住宅タイプは以下の通りです。

●省エネ基準適合住宅

 国が定めた最低限の基準。断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅。

●ZEH住宅

 Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語、太陽光発電など創エネによって「エネルギー収支をプラスマイナスゼロにする住宅」を指す。

 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の住宅。

●長期優良住宅

 耐久性や耐震性、省エネ性などあらゆる認定基準を満たす住宅。

 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が基準。

●認定低炭素住宅

 二酸化炭素の排出量を抑え、省エネ効果が高いことが認められた住宅。都市の低炭素化の促進に関する基本方針に沿っているかなど、各都道府県や市が認定。

今後の家づくりはエコ住宅が必須?

政府は地球温暖化対策のため建築物のエネルギー消費性能の向上を図るとして、建築物省エネ法を制定・改正しました。2021年に決定したエネルギー基本計画では、2030年度以降新築される住宅をZEH水準の省エネ性を確保することを目指し、現在は省エネ基準の段階的な引き上げが実行されています。

2025年以降は住宅を含むすべての建築で省エネ基準適合の義務化が予定されています。

また、それに先立ち2024年から住宅ローン減税の対象が省エネ基準適合住宅となりました。

全期間固定金利がメリットとして多くの方が利用する住宅金融支援機構の住宅ローン【フラット35】も、2023年4月から省エネ基準適合を必須条件としています。

エコ住宅は、並べられた選択肢ではなく、今後の家づくりに必須の条件になっていくと断言できます。

 

2025年~「省エネ基準適合」が義務化

2025年より義務化される省エネ基準適合についてくわしく見てみましょう

現在では、床面積300㎡以上の非住宅にのみ求められている省エネ基準適合ですが、2025年以降は住宅を含むすべての建築が義務化されることになりました。

断熱等性能等級4以下の住宅は省エネ基準非適合となり、建築できません。

また断熱等性能等級について、以前では平成28年に設定された等級4が最高でしたが「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が一部改正され、2022年4月より「等級5」が新設されました。さらに、同年10月からは「等級6」「等級7」が新たに加わっています。

つまり、ここ数年の間にも住宅性能に関する水準は急速に高まり、世界的な脱炭素化の流れで建築、特に住宅の省エネ性能が強化されているといえるでしょう。

 

2024年~住宅ローン減税は省エネ性能が必須要件に

2025年の省エネ基準適合義務化に先立ち、2024年から住宅ローン減税は住宅の省エネ性能に応じて借入限度額が引き下げられます。そもそも、省エネ基準に適合していなければ住宅ローン減税を受けることができません。

住宅ローン減税は、ローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除してもらえる大変お得な制度です。マイホームを持つならばできる限り恩恵にあずかりたいところ。2024~2025年での借入限度額をチェックしてみましょう。

 

【住宅性能と借入限度額(2024~2025年入居)】

住宅性能

借入限度額

最大控除額

控除期間

長期優良・低炭素認定住宅

 4,500万円

 409.5万円

 13年

ZEH水準省エネ住宅

 3,500万円

 318.5万円

省エネ適合住宅

 3,000万円

 273万円

その他の住宅

 0円

 0円

※子育て世代には上乗せ措置あり。
※2023年12月末までに建築確認を受けた住宅、2024年6月末までに竣工済の住宅については、省エネ基準に適合しない場合でも特例の適用あり。

参考:国土交通省|住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料

 

エコ住宅のメリット・デメリット

メリット

制度上の必要性をお伝えしたエコ住宅ですが、私たちの暮らしに嬉しいメリットもたくさんあります!

主なメリットは以下の通りです。

  • 光熱費の削減
  • 温度差の少ない快適な住空間
  • 家の高寿命化
  • 災害に強い住まい
  • 補助金でコストダウン

エコ住宅において、省エネルギーでの冷暖房稼働でも一年中快適な室内温度が実現するのは一番のメリットと言えるでしょう。冬場のヒートショック症候群など健康被害のリスクを大幅に軽減できる効果も期待できます。

また、変化の少ない住まい環境は湿気やカビから家の構造を守り、耐久性を高めます。

耐震性を高め太陽光発電や蓄電器を搭載すれば、災害時にも安心できる住まいとなるでしょう。

エコ住宅は国や自治体でさまざまな補助金制度が設定されているため、上手に活用することで新築時やリフォーム時のコスト削減が実現できます。

デメリット

メリットの多いエコ住宅ですが、デメリットを知ることも大切です。

以下に見ていきましょう。

  • 初期コストが高い
  • 施工会社が限定される

 

住宅の省エネ性能を高めるためには、高気密・高断熱仕様の建材や手間が必要となり、太陽光発電といった設備にもまとまった初期コストがかかります。

減税や補助金の活用や省エネ仕様でのランニングコスト削減により、長期的にとらえれば費用回収できる見込みは十分にありますが、当初はハードルが高く感じる人も少なくないでしょう。

世帯収入や今後の可能性なども考慮しながら、ファイナンシャルプランナーなどに相談するのも一つの方法です。

また、エコ住宅の性能基準は地域によって異なり細かい規定があるため、それらを熟知した施工会社や設計士に依頼する必要があります。

さらに補助金や減税制度の利用にも定められた条件をクリアする必要があるので、制度にくわしい施工会社や金融機関の担当者についてもらうのがおすすめです。

 

まとめ

近年、大きく変わりゆく家づくり事情。

ハウスメーカーをはじめ、各住宅会社は新たな住宅性能やローン制度に対する態勢を急ピッチで進めています。

マイホームを持とうとするオーナーも、積極的な情報収集によって減税や補助金などの恩恵を最大限に受けられるでしょう。そして、エコ住宅であれば一年中快適な住環境が待っています。

これから家づくりをご検討の方は、ぜひ住宅性能に注視しながら計画を進めてみてくださいね。

 

福岡で自然素材を使用した住宅を手掛ける辰巳工務店では、ZEHや長期優良住宅などのエコ住宅についてもさまざまなご提案をいたします。

健康で安全、省エネで環境に優しい家を建てたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。