木造住宅の寿命は何年?耐用年数や長寿命化のポイントを紹介

木造住宅の購入やリフォームを考えるとき、実際に何年住める家なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

日本の木造住宅の寿命はこれまで30年程と言われてきました。

しかし、近年は住宅の耐久性や中古物件の価値が見直され、少しずつ家の寿命に関する考え方も変わってきています。

また、木造住宅は家の仕様やメンテナンス次第で寿命を大きく延ばすことが可能な住まいです。

今回は、木造住宅の寿命を見極めるための考え方と、家を長持ちさせるためのポイントを解説します

新築だけでなく、中古物件のリフォームを検討する方、相続の予定がある方、あらゆる方に参考にしていただきたい内容を紹介します。

日本の木造住宅の寿命はなぜ短い?

日本の住宅の利用期間は平均30年

国土交通省の調べによると、日本において取り壊される住宅の平均築年数は約30年という結果でした。

アメリカは約55年、イギリスは約77年という諸外国の結果に対し、非常に短いスパンで取り壊されていたことが分かります。

30年といえば住宅ローンの返済期間が思い浮かぶ方もいるかもしれませんが、ようやく返済が終了しても住む家が無くなるのであれば非常に悲しいことですね。

参考:国土交通省|長持ち住宅の手引き

 

「新築好き」だった国民志向

第二次世界大戦で敗戦した日本では、都市部を中心に多くの住宅が焼失しました。そのため、現在市場に出回る住宅のほとんどが戦後に建てられたものです。

国の成長に伴い大量に建てられた住宅は、質よりも価格重視の安普請であるものも多かったため「家は20~30年経ったら建て替え」という、市場の共通認識が形成されたのではないかと考えられます。

そんな背景により、家を修繕しながら住み継ぐという習慣がつくこともなく「マイホームは新築」という志向が根付いてしまったのでしょう。実際に、住宅投資に占めるリフォームの割合では欧米諸国が約6~8割であるのに対し、日本は3割に満たない非常に少ない割合となっています。

しかし、現在は中古物件をリノベーションして住む選択も人気が高まり始め、新築主義の考え方は少しずつ変化しているようです。

 

中古物件の価値が著しく低い

新築に比べ中古物件の不動産価値が著しく低く扱われることも要因のひとつでしょう。

住宅ローン審査の際には、中古物件は担保としての価値が低くなるため審査に通りにくくなったり、希望する借入額に届かなかったりするケースがあります。

住宅は築後1年経てば誰も住んでいなくても中古物件になり、取引価格は新築に比べ格段に低くなります。さらに、築20~25年の物件は家の市場価値がほとんど無くなり、土地の値段のみで取引されることも少なくありません。

「せっかく購入するなら価値が高く、住宅ローンも借りやすい新築を」と考える消費者が多いのも無理はないことでしょう。

 

実際の木造住宅の寿命は?

木造住宅に関する3つの「耐用年数」

木造住宅の寿命を考えるとき、しばしば「耐用年数」という言葉が登場します。

しかし「用に耐えうる年数」という言葉通りの意味ではなく、家の市場価値を判断するための目安や税務計算上で必要な数値であるため、実際の寿命とは関係がない点に注意が必要です。

●法定耐用年数

建物は耐用年数を定めて減価償却することにより、毎年の課税額が決定されます。

法定耐用年数は減価償却計算の参考値であり、木造や鉄骨造などの構造ごとに年数が定められています。

ちなみに、木造住宅の場合の法定耐用年数は22年です。

 

●物理的耐用年数

物理的耐用年数は、建物の構造材への物理的原因や化学的要素による劣化を示す耐用年数です。

工学的な判断をベースに決定されるため、気候風土や木材の種類、メンテナンス状況は考慮されません。

 

●経済的耐用年数

経済的耐用年数は、市場での売買価値がある期間を示すものです。

建物の価値だけでなく、立地や周辺環境等も考慮され、需要の有無に大きな影響を受けますが、一般的に木造の場合20~25年です。

 

一般的な木造住宅の寿命は65年

耐用年数は22年、建て替え年数は30年という木造住宅ですが、実質的な寿命はそれよりもずっと長いようです。

早稲田大学の小松幸夫教授らによる2011年の調査結果によると、木造住宅の平均寿命は約65年という結果が算出されています。

ちなみに、1997年調査では約44年、2006年調査では約54年という結果であったため、段階的に平均寿命が延びていることが分かります。

参考:小松幸夫|建物の寿命と耐用年数

 

木造住宅は80年以上住み続けられる!

戦後から経済成長期では質よりも量が優先された木造住宅ですが、消費者の住まい環境への意識向上、省エネ・エコへの関心から、耐久性の高い家で長く住む事への意識が高まりました。

特に、国をあげての脱炭素化への取り組みにより、住宅の省エネ化に関しては強く推進され、補助金などの支援制度も各種設けられています。省エネ性や耐久性の基準を満たす住宅の期待耐用年数は以下の通りです。

  • フラット35基準の木造住宅:50年~60年
  • 劣化対策等級3の木造住宅:75年~90年
  • 長期優良住宅認定の木造住宅:100年超
参考:国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について

 

いずれも断熱性や耐震性、省エネ性などに関する基準が定められています。

中でも、構造や設備仕様だけでなく定期的なメンテナンスにも要件が定められている長期優良住宅の場合、なんと100年以上住むことができると判断されています。

これからの木造住宅は建て替えではなく、2世代3世代と住み継いでいける家になることが予想できますね。

 

木造住宅の寿命を延ばすポイントは?

長寿命化は定期的なメンテナンスがカギ

木造住宅の寿命を延ばすためには、こまめな掃除、定期的なリフォームが欠かせません。

特に、屋根や外壁など風雨にさらされる箇所は雨漏りなどが生じる前に点検・リフォームすることが大切。

木造住宅の大敵であるシロアリについても、通常の防蟻剤は5~10年で保証が切れるケースが多いため、定期的なメンテナンスが必要です。

 

また、水回り設備は経年劣化により腐食や水漏れが発生しやすい箇所です。水が流れにくい、ニオイや汚れが落ちにくいといった異常がある場合には早期にリフォームを検討しましょう。

24時間換気が設定されている家では、適切に換気システムを稼働させ続けることも重要です。

例えばトイレやお風呂の換気扇において、換気計画に含まれているにもかかわらず、節電や寒さ対策としてオフにする習慣がついているご家庭も少なくありません。ただし、汚れた空気や湿気を外に追い出すことは、家の状態を健やかに保つことにつながります。マイホームの換気計画をきちんと認識しておくことが大切です。

 

木造住宅を建てる際に気を付けるポイント

新築の場合であれば、建物の耐震性や耐久性だけでなく、地盤対策も重要です。

土地選びから始める際には、必ずハザードマップをチェックしましょう。計画前に地盤調査が行われることがほとんどですが、危険度の低いエリアを選べば万一の際にも安心して住める住まいになります。

 

まとめ

22年、30年と言われている木造住宅の耐用年数ですが、実質的な平均寿命は65年という結果が出ています。

さらに、日々のお手入れや定期的なメンテナンスを適切に行うことで、80~100年といった長い期間住み続けていけることが可能です。

「35年の住宅ローンを払い終えた先にあるのは劣化して住めない家…」そんな結末に至らないように、住まいの長寿命化を目指しましょう!

 

福岡を拠点とする辰巳工務店では「永く住まう家」をモットーに、素材や性能にこだわった家づくりを行っています。

木造住宅に使用する構造材はすべて大工の手刻みによる無垢材。継承され続けてきた技術と最新の知識を組み合わせ、何世代にもわたり住み続けられる住まいをつくります。

長期優良住宅の実績も多数ございます。

何十年も快適に住める家づくりをしたいとお考えの方は、辰巳工務店までお気軽にご相談ください。