令和6年から住宅ローン減税は省エネ性能が必須に!条件や申請の流れを解説

住宅ローンを組んだ人を対象に、納めた税金の一部が控除されるお得な仕組みの「住宅ローン減税」。

しかし令和6年以降、マイホームが一定の省エネ性能に満たない場合、制度適用の対象外となりました。

減税を受けるにはどの程度の省エネ性能があればよいのでしょうか。

今回は、新たな住宅ローン減税の条件や申請の流れをくわしく解説します。

住宅ローン減税を利用すれば最大400万円ほどの控除を受けられる可能性が!ぜひ最後までお読みください。

 

 

住宅ローン減税の対象は「省エネ基準適合住宅」のみ

住宅ローン減税(控除)とは、正式な名称を「住宅借入等特別控除」といい、納めた所得税・住民税の一部が住宅ローン残高に応じて控除される制度です。

条件を満たす住宅の場合、入居から最大13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%にあたる額の税金が還付されます。

令和6年以降は何が変わる?

今までは、省エネ性能に関わらず中古・新築住宅について広く適用された住宅ローン減税ですが、令和6年以降は「省エネ基準適合住宅」以上の性能を持つことが条件となりました。

世界の脱炭素社会の潮流を受け、日本でも2050年カーボンニュートラル実現のためさまざまな施策を講じています。その一環として、建築、特に住宅についての省エネ水準強化を目指し、令和7年以降はすべての住宅について省エネ基準適合が必須要件になることが予定されています。

住宅ローン減税の要件変更は、令和7年の改正を見据えて設けられた基準と言えるでしょう。

令和5年までは、省エネ基準未満の住宅であっても控除期間13年間、3,000万円を借入上限額として控除が認められましたが、今後は下記の経過措置に当てはまる物件以外は一切の控除なしとなります。

  • 令和5年12月末までに建築確認を受けた住宅
  • 令和6年6月末までに竣工済みの住宅

 

また、住宅ローン減税の控除額は省エネ性能が高いほどに大きくなります。

性能区分と控除額の関係を確認しましょう。

 

【令和6年~7年入居の場合】

 

 

性能区分

借入限度額

最大控除額

控除期間

年間

合計

新築住宅

・買取再販

①長期優良住・低炭素住宅

 4,500万円

 31.5万円

 409.5万円

 13年

②ZEH水準省エネ住宅

 3,500万円

 24.5万円

 318.5万円

③省エネ基準適合住宅

 3,000万円

 21万円

 273万円

その他の住宅

 適用外

既存住宅

上記①②③の住宅

 3,000万円

 21万円  210万円  10年

その他の住宅

 2,000万円  14万円  140万円

 

省エネ基準適合住宅とは

住宅ローン減税を受けるための要件である省エネ基準適合住宅とは、建築物省エネ法で定める基準を満たした住宅のことです。

消費エネルギーを抑えながら快適な室内環境を実現する家を指し、具体的には「断熱等性能等級4」かつ「一次エネルギー消費量等級4」以上の性能が求められます。

近年普及率が拡大しているZEHや長期優良住宅なども、省エネ基準適合住宅のひとつです。

これまでは非住宅建築物(床面積300㎡以上)にのみ義務付けられている省エネ基準適合ですが、令和7年以降は住宅を含むすべての新築建築物に義務化されます。

 

住宅ローン減税の適用条件

省エネ基準適合以外の適用条件

マイホームを購入した際に、住宅ローン減税を利用するための主な要件をチェックしてみましょう。

  • ローン契約者自身が引き渡し後6カ月以内に住むこと
  • 床面積が50㎡以上かつ居住用に2分の1以上を使う
  • 10年以上の住宅ローン返済期間があること
  • 合計所得金額※が2,000万円以下
  • 居住年およびその前2年の計3年間に譲渡所得の課税の特例適用を受けていない

※合計所得金額:給与所得、事業所得、不動産所得、利子、配当、短期譲渡所得、退職金に係る所得(非課税所得を除く)などの合計

 

上記の条件は令和6年~7年に入居した場合、新築と中古両方に共通する内容です。ただし、適用年によって内容は少しずつ変わります。実際に検討する際には、金融機関や住宅会社などへの相談を早めに進めましょう。

参考:国税庁|No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

  /No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

 

省エネ基準適合の証明書

住宅ローン減税は入居の翌年に確定申告をすることで適用対象となりますが、その際に省エネ基準適合であることを証明する書類の添付が必要です。

省エネ区分に応じた証明書の種類を紹介します。ただし、一般的には購入先の住宅会社や不動産会社が取得を代行してくれます。不明な点が多ければ、まずは購入先に相談しましょう。

「認定住宅」の場合

認定住宅とは「認定長期優良住宅」と「認定低炭素住宅」を指します。それぞれ耐久性や環境配慮に特化した性能を持ち、高い省エネ性能を誇ります。

認定住宅の場合で、省エネ基準適合以上の性能を示す書類は以下の通りです。

 

①「認定通知書」の写し:都道府県または市区町村等が発行

②「住宅家屋証明書」:市区町村が発行

  または「認定長期優良(低炭素)住宅建築証明書」:建築士等が発行

※①かつ②をあわせて提出

 

「ZEH水準省エネ住宅」または「省エネ基準適合住宅」の場合

年間の消費エネルギーを実質ゼロ以下にする「ZEH水準省エネ住宅」と省エネ基準適合住宅の場合、主に設計士や住宅会社から「住宅省エネルギー性能証明書」を受け取ることができます。

また、住宅の性能を多方面から評価する「建設住宅性能評価書」でも証明書類として使用可能です。

 

①「住宅省エネルギー性能証明書」:登録住宅性能評価機関のほか、建築士や指定確認検査機関等が発行

②「建設住宅性能評価書」の写し:登録住宅性能評価機関が発行

※①または②のいずれかを提出

 

省エネ基準に満たない住宅の場合

省エネ基準に適合しない住宅は基本的に住宅ローン控除の対象外となりますが、現在は経過措置が設けられています。条件に当てはまる場合は、以下の書類を添付することで適用対象となります。

 

・令和5年12月末までに建築確認が受けている住宅:建築確認に係る「確認済証」または「検査済証」の写し

・令和6年6月末までに竣工済みの住宅:令和6年6月30日以前に建築されたことを明記した「登記事項証明書」

 

 

住宅ローン減税申告の流れと必要書類

住宅ローン減税を受けるためには、条件を満たすだけでなく確定申告が必要です。1年目と2年目以降の申告手続きについて確認していきましょう。

1年目の手続き

住宅ローン減税の適用を受けるためには、会社員であっても1年目に確定申告手続きをすることが必要です。

入居開始年の翌年2月16日~3月15日の間に管轄の税務署に確定申告書を提出することで、手続き後1ヶ月~1ヶ月半程度で還付金が指定の銀行口座へ振り込まれます。

確定申告時の必要書類は以下の通りです。

書類

入手先

 確定申告書A(自営業の場合B)

 税務署もしくは国税庁の公式サイト

 住宅借入金等特別控除額の計算明細書

 国税庁の公式サイト

 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

 住宅ローン借入先の金融機関から発行

 土地および建物の登記事項証明書

 法務局にて入手

 工事請負契約書または不動産売買契約書の写し

 それぞれの契約時に受け取り

 源泉徴収票

 会社員の場合、勤務先より発行

 住民票の写し

 住所がある市区町村の役場(マイナンバーカード所持の場合コンビニエンスストアでも入手可)

 住宅性能を示す書類

 住宅会社や不動産会社などが取得代行

この他にも、補助金や資金贈与を受けた場合はそれらを証明する書類の添付が必要です。

申告は窓口や郵送のほか、インターネットでも手続きできます。ただし、限られた期間内に多くの書類を用意する必要があるため、余裕を持って準備を進めましょう。

2年目以降の手続き

住宅ローン減税の手続きは毎年必要ですが、会社員であれば2年目以降の確定申告は必要ありません。

給与所得の場合、会社で行う年末調整の際に、税務署から届く書類や金融機関から届く残高証明書などの書類を勤務先に提出するだけで手続きが完了します。

個人事業主やフリーランスなどは引き続き毎年の確定申告が必要です。1年目と同様に手続きを進めましょう。

 

まとめ

住宅ローン減税を利用すれば、住宅ローンの負担が大きく軽減されます。

ただし、現行の住宅ローン減税制度が適用されるのは令和7年まで。それ以降に制度延長があるのか、見通しは明らかにされていません。

現在マイホームの取得を検討している方で、住宅ローン減税の適用を受けたいと考える場合には、令和7年中の入居を目指すことをおすすめします。

特に、注文住宅を検討する場合は完成までに長い期間を要するため、設計期間や工事期間を早めに把握しておくことが重要です。

 

健康で安全、環境に優しい家づくりをモットーとする辰巳工務店では、素材を活かしながらも高い省エネ性能を持つ住まいを実現します。

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住宅ローン減税や省エネ基準適合住宅についてのご質問も、ぜひお気軽にお問い合わせください。